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  • 執筆者の写真中西 紹一

オンラインワークショップのデザイ〜③デジタルは忖度しない


「デジタルは忖度しない」

名文句ですね。素晴らしい。

ただしこれは僕が発案したものではなく、「デジタルの会議はなぜ盛り上がらないか?」というオンラインワークショップを実施した時、参加者である私の友人が発したたメッセージなんです(友人の名前はあえて伏せておきますね)。

彼女曰く。。。

『……会社でオンライン会議を実施した時のことなんですが、会議開催の直前に役員の出席が決まりまして、そしたら上司が私に「オンライン会議の画面位置は固定できないのか?」と聞いてきたんです。


何を言っているのかわからず、何をしたいのか上司に詳しく聞いてみると、画面分割された時に役員の上に自分の画面が設定されると困る、ということだったんです。「自分が○○役員の上にいるなんで、ちょっとまずいんじゃない?なので、役員の○○さんは画面の上に固定してほしいんだけど。できれば画面も少々大きくして。。。」と言ってきたんです。

私は当然「それはできないです」と言ったんですが納得されなかったようで、かなりマニュアルを調べさせられて、、、結局は無理だったんですけど、会議直前にかなり混乱させられました。


デジタルは忖度などしないんですけどね。。。』

この上司は、おそらくオンライン会議にも「上座」があるのだと思ったのでしょう。

リアルの会議では、ポイントとなる重要人物は通常「上座」にすわることを求められます。実際、自分が広告会社とクライアントとの打合せに同行し、クライアントより先に部屋に通された場合、広告会社の人はたいてい「上座はこっちだよね」といいながら、上座の対面にすわろうとします(最近は慣れましたが、最初は驚きました)。

オンライン会議システムの場合、「会議」という名称はついているものの、リアルの会議と同様の忖度までシステム化されているわけではありません。単なるビデオチャットの延長としてオンライン会議システムがあるだけなので。。。人は「会議」と名がつくだけで、会議の文化をシステムに介入させたいんだなぁ。。。とかなり驚きました。

この話から得られる発見は2つ。

一つは、忖度を取り入れたオンライン会議システムには、もしかしたらビジネスニーズがあるかもしれない、ということです。商品名は「そんたくん」で良いと思います。ただ、忖度は高くつくと思うので、きっと自分はZOOMで済ませるでしょう。

もう一つの発見ですが(こちらのほうが重要!)、リアルの会議やワークショップでフラットな対話を経験したことのない人にとって、オンラインの会議はかなり厳しいものになる、という仮説を見つけたことです。

ZOOMのような一般的なオンライン会議システムは、個人の社会的属性を事前に察知し最適化を図ることはしません。システムが最適化するのは映像と音声、招待される参加者とその数のマネジメント、そしてセキュリティだけです。忖度など問題外です。

ということは、そもそもオンライン会議には「フラットな会話」という与条件が実施の前提に埋め込まれている可能性が高いと思われます。社長も平社員も、画面上では同じ大きさで映し出されますし、発言の音量も変わることはありません。画面上ではゴマすりの効果も半減します。結局、オンライン会議の場では、フラットで核心に迫る発話だけが価値を持つ空間になるのです。

そうなると、リアルの代替物としてオンライン会議やリモートワークを普及・浸透させたいと考える企業には、オンラインの特徴である「フラット感」や「忖度がない感」をリアルで経験・体感させる必要性が生じます。リアルでやったことがなければ、その代替物を活用できないので。ということは、今後オンラインのリモートワークを浸透させたい企業では、フラットな会話をリアルの場で経験・体感すること、つまりリアルのワークショップ経験・体感が必要不可欠になると考えられます。

自分がもしリモートワーク研修を行うなら(まだしたことないですけど)、最初に必ず研修参加者全員がワークショップに参加し、フラットな会話を体験。それからオンライン会議の特性を説明するでしょう。そのほうが、おそらく理にかなっているからです。

ワークショップの活用方法を、デジタルやオンラインの経験から発想するとは思いませんでしたが、これも「コロナ・レガシー」なんでしょう。


新型コロナ、恐るべし。

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